WOOD RESTORATION 01

WOOD RESTORATION 01


自動車ウッドパネル

ウッドパネル修理


ロールス・ロイス ファントムⅤのウッドパネルのレストア。
このファントムⅤには、ウォールナットのバールウッドと呼ばれる、木の幹や根に異常成長が起こることで形成される部分が使用されています。バールウッドは、木がストレスを受けたり、病気や傷害を受けたりする際に発生し、複雑で美しい模様が生まれます。

また、ロールス・ロイスでは、木目が左右対称になるように配置する「ブックマッチ」と呼ばれる技術が使われています。ダッシュボードであればセンターから左右対称に、ドアパネルであれば左右どちらも同じ模様を配置します。さらに、左右だけでなく、前後の模様が途切れず流れるように前方から後方へと繋がっていきます。この効果は、視覚的に非常に魅力的です。

この車両のウッドパネルは、経年劣化により全体的にクリア塗装がひび割れ、所々で突板も割れていました。特に損傷が大きかったのは、左右のリアクォーターガラスの枠で、湿気によりベースが変形し、突板も欠損していました。今回は、すべての突板を張り替えるのではなく、特にひどく傷んだり欠損した部分のみを修復することにしました。これは、当時のものを少しでも残すことが重要だと考えたためです。

新たに貼り替える部分には、既存の模様と遜色のないウォールナットバールを選び、模様を合わせて貼り直します。何層にも重ねて施すクリア塗装と、手作業で行う研磨は非常に時間がかかりますが、バールウッドの独特な模様が最大限に活かされ、木材の深みや立体感が際立ち、魅力的な光沢を放ちます。